原価管理というと、原価引下げのための徹底した合理化が考えられる。しかし、原価管理といえども、人による人の管理が中心となる。たとえば、標準原価や予算が、人を抑え付ける用具としてではなく、納得して仕事に駆り立てる基準としての性格をもたせることも一例である。多様化する意識の中で、原価管理もそれに呼応するものでなければならない。人間性の無視から人間性尊重の思考への転換である。この意味から、原価管理における原価引下げも、量的な側面からだけでなく、質的な側面も並行して取り上げる必要がある。(pp.89-95)