バベッジの原価管理の理論は、生産技術の合理性追求によって、原価引下げを期待している。彼は、製品の価格は、顧客の需要を考慮して、販売高が最も多くなるように決定するが、一方では良質の製品を製造しつつ、その製造原価はできるだけ引き下げるべきである、主張する。バベッジが考えていた原価管理は、その当時と現代とではその生産条件が異なるが、基本的には経営改善を考慮した場合の現代の原価管理と同じである。19世紀の初期に、バベッジは、今日的な意味における原価管理の思想を身に付けていたのである。(pp.213-224)