本稿は,オルビス株式会社(以下,O 社という)の販売プロセスを対象として,店頭販
売および通信販売におけるリスク・統制・証憑(監査証拠)を分析し,デジタル化の進展
が内部統制および証憑(監査証拠)に与える影響を明らかにすることを目的とする。具体
的には,業務記述書,リスク・コントロール・マトリクス(RCM),評価で使用する証憑
を入手し,分析するとともに,O 社および親会社である株式会社ポーラ・オルビスホール
ディングスの内部統制責任者・評価担当者等へのインタビュー調査を実施した。これは現
在の販売プロセスの内部統制を構築・運用の中でどのように考えたのか,モニタリングが
どのように機能しているかを検討するためである。
O 社の分析およびインタビュー調査により,特徴的な点として,まず店頭販売と通信販
売におけるリスク,統制,評価手続の根拠となる証憑が異なること,またIT 統制を活用
していること,モニタリングにおいてCSA とJ-SOX 評価担当者による評価の実施をおこ
なっていることが明らかとなった。また,デジタル化に関して,特に自動化統制の活用に
より効率化と信頼性向上を図っていることが明らかになった。