1993年に税制上の国境が廃止されたことで、特に物品の域内移動に関する考え方が大幅に修正された。それまでの国境における税関検査の実施と輸入VATの徴収は不要となり、新しい仕組み導入による様々な措置が導入された。しかしながら。これら移行期に導入された経過措置を含む諸制度がその後数年を経て様々な競争上の歪みや税制上の問題を引き起こすようになった。本稿は、このような、1993年の市場統合時に経過措置あるいは制度改正として新たに導入された様々なルールの動向や、当該措置がもたらす問題点及び欧州委員会がこれらを解決する手法として現在検討している改正案等を取り上げ、今後の展望も含め、詳細に検討する。