平成30年3月告示の高等学校学習指導要領においては,生徒が未来社会を切り拓くための資質・能力を一層確実に育成することを目指し,知識及び技能(技術)の習得と思考力,判断力,表現力等の育成とのバランスを重視するとともに,知識の理解の質を更に高め,確かな学力を育成することとしている。しかし,教師によっては,「主体的・対話的で深い学び」を授業に取り入れることが目指すゴールであるかのように捉えるといった誤解が生じている。
一方で,高等学校学習指導要領が目指している資質・能力を育成するためには,各学校がその特色を生かして創意工夫を重ねるとともに,長年にわたる教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら,生徒や地域の実態・課題を捉え,家庭や地域社会と協力して,学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことが求められている。
こうしたことを踏まえ,従前の高等学校学習指導要領のもとで,優れた指導方法や指導技術を取り入れて実施された授業実践の中から三つを取り上げ,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた充実方策を探求する。