映画『タクシー・ドライバー』(Taxi Driver, 1976)が、ヴェトナム戦争を直接表象せずに、ヴェトナム帰還兵の存在と暴力を通じてヴェトナム戦争を暗示していることを論じた。インディアン捕囚神話の引用や、ホラー、ポルノとのジャンル混交を用いて、テクストは帰還兵の暴力を、ヴェトナム戦争におけるアメリカの敗戦と残虐性の寓話にしていることを主張した。(第7章「ヴェトナム帰還兵映画としての『タクシー・ドライバー』:ヴェトナム戦争の徴候、反復、アレゴリー」担当、p.221-p.245、編著者・加藤幹郎、杉野健太郎)。