子孫の絶えた家の先祖祭祀 : 波照間島における預かり墓と焼香地
本稿は、戦争にのみとどまらず、災害や政策、過疎といった生活条件の大きな変化を被ってきた沖縄県波照間島を対象とし、子孫が絶えた場合、各家が先祖祭祀をどのように受け継いできたのかをあきらかにすることを目的とした。本稿では、焼香の義務を賦課した家産を他家に預けることにより、他家のものを“擬制的な子孫”として位置づけながら、家の潜在的な存続を図っていることをあきらかにした。
日本民俗学