JIGS2調査に基づき2007年当時の都市ガバナンスの制度化の状況、各アクターの参加状況、地方政府の政策形成での各アクターの影響力、自治会町内会と社会団体の自治体政策への満足度を概観し、この時点で市民社会アクターが参加し協働する制度化・協働が、一定程度展開していたことを確認する。さらに、市民社会の非営利各アクターをめぐる各種統計を要約し、この20年間に脱主務官庁的な制度化が進み、10万ほどの新しいアクターが登場したこと、他方で財政的には減退を余儀なくされ、また市民の参加意識も減退していることを確認する。
これらをうけて、2017年に実施したJIGS4 調査10市区での制度化、参加の10年間での進展を振り返り、この間に一定の前進はみられるものの、市区と市民社会の諸アクターの関係はやや疎遠になっており、どちらかといえば、市区の側から市民社会に依存する傾向の増大を見出す。このようにみれば、現在の日本の都市ガバナンスの進展は「まだら」であり、制度化と実態の間にギャップがある。この踊り場的な停滞状況の中で、ガバナンスモデルも一定の方向が定まっていないことを議論する。