報告者:田川寛之・戸川和成・辻中豊。筆者らは2017年に実施した「JIGS4-NHA調査(全国自治会・町内会調査)」(調査主体:筑波大学団体構造研究会、研究代表:辻中豊筑波大学教授(当時))データに依拠し、ローカル・ガバナンスの持続可能性についての分析を行った。本報告は、「地域社会の縮退」を説明する変数として「住民同士の地域活動の水準低下」を設定し、自治会・町内会の「協働水準」を主効果、「地域社会の縮退傾向」を交互作用として、「政策満足度」に対する影響を分析した結果を報告している。研究結果によれば、住民同士の地域活動が平均を下回る地域では、協働水準が増すほど政策への「不満」の評価が上昇している。この知見から、財政制約という条件の下では本来考えていたローカル・ガバナンスは立ち行かなくなり、その持続可能性に問題があることを提示している。