発表者の後藤は、2016年8月5日から9月21日までの48日間(高野山までを含むと52日間)をかけて、四国八十八ヶ所寺院を歩きながら巡拝し、およそ1200kmの移動経験を包括的に撮影した。合計420時間の記録映像には、撮影許諾を得て行った80名ほどのインタビュー映像が含まれている。本発表では、それらの映像を「巡礼者と地域住民の動的関係イメージ」の観点から編集した映像モノグラフを上映したあと、移動する巡礼者(遍路)が地域住民と対話を重ね、相互行為を行うなかで、どのように変容していくかを論じた。そのプロセスは、巡礼者と地域住民の関係の変化にしたがって現れてくる「関係イメージ」の生成過程であった。