超国家的中央銀行による危機対策とOCA理論の不完全性-歴史的観点からの考察-
超国家的中央銀行の金融政策の役割と重要性を考察し、OCA理論の再構築を提示した。OCA理論では、(1) OCA理論の前提と現実との差異、(2) 最後の貸し手機能に関する考察の欠如、(3) ECBの金融安定性に対する消極的姿勢、の3点から超国家的中央銀行の考察が欠如している。これらの歴史的・制度的観点からの考察によって示された超国家的中央銀行による危機対応的金融政策をOCA理論に組み込むことが重要である。
経済学論纂(中央大学)
第57巻, 第3・4号