本稿の目的は,DCS(診断型コントロール・システム)およびICS(インタラクティブ・コントロール・システム)概念を用いた経験的研究の回顧を通じて,両コントロール・レバーの操作化について検討し,将来の研究に向けた提言を行うことである。システマティック・レビューに基づく分析を行ったところ,概念の操作化に関して経験的研究間でコンセンサスを得られていない2 つの課題が見出された。この結果を受け,これらの課題に対し妥当性を高める操作化の形を検討し,将来の研究に向け2 つの主要な提言を示した。第一に,ICS 概念に依拠する経験的研究では,概念的定義から適切な特性を設定し,それらを漏れなく網羅した調査を行うべきである。第二に,DCS およびICS の利用度測定を行う経験的研究では,両方の概念に該当し得る曖昧な測定尺度の利用を避け,両概念の相違点に着目した操作化を行うべきである。総じて,DCS とICS を概念上正確に識別することが重要となる。