本研究では,伝統的に管理会計の前提とされてきた公式的なシステムに基づくコントロールと,インフォーマル・コントロールと呼ばれる非公式的なコントロールとの関係性に着目し,検討を行う。まず,近年の文献における管理会計の定義を比較し,広義と狭義,それぞれの定義が存在することを確認した。つぎに,管理会計概念の拡張における方向性のひとつとして,インフォーマル・コントロールが包含されつつあることを,これまでの研究や企業のケースから示した。以上の検討を通じて,現代では広義の管理会計がインフォーマル・コントロールを含む概念として捉えられること,そのなかで公式的な管理会計システムとインフォーマル・コントロールを区別して論じるのが適切であることを主張した。