書評 「本棚 伊原亮司『トヨタの労働現場』桜井書店」
『月刊東京』249号(2004年7・8月号)、26-27頁
本書は、参与観察の手法を使用して、高い業績を上げ続けるトヨタの労働現場において、労働者がどのような労働条件におかれ、どのような労働内容に従事し、どのような管理の下におかれているのかを克明に明らかにした書である。日本的生産システムの特徴として、通説は、「ある程度の自律性を労働現場に与えることによって、非権威主義的な管理が実現している」と主張している。本書は、こうした主張を全面的に検証し批判する。しかも一つ一つの論拠が参与観察に基づいているため、具体的で説得力がある。