Academic Theses

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Name TAHARA, Shinji
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Title

「JSNAの支出側・生産側推計における2008SNAへの対応について」

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Summary

平成28年度に公表された我が国の国民経済計算(JSNA)の「平成23年基準改定」では、平成27年6月に公表された直近の平成23年産業連関表等の情報の取り込みや、各種の推計手法の見直しを行うとともに、国民経済計算(SNA)に関する最新の国際基準である「2008SNA」への対応が行われた。本稿は、JSNAの支出側・生産側推計に関して、2008SNA対応を中心として平成23年基準改定における取組の状況について整理したものである。
 基準改定とは、約5年ごとに総務省をはじめとした10府省庁合同で作成される産業連関表(共同IO)等をベンチマーク(基準)として取り込み、過去の計数を含めて再推計を行うことをいう。今回の基準改定は、平成23年共同IO等をベンチマークとするため、「平成23年基準」となった。
 内閣府(2014)は、2008SNAにおける変更・明確化の内容を「非金融(実物)資産の範囲の拡張等」「金融セクターのより精緻な記録」「一般政府や公的企業の取扱精緻化」「国際収支統計との整合」の四分野に整理しているが、そのうち支出側・生産側推計において対応が必要となるのは、「非金融(実物)資産の拡張等」が主に該当し、研究・開発(R&D)の資本化や防衛装備品の資本化等、支出側・生産側の計数を変化させる変更点が含まれる。
 本稿では、今回の平成23年基準改定において対応が想定された2008SNAの主要な勧告事項について、支出・生産面に着目し、設例を用いながら、コモ法及び付加価値法における対応方法の紹介を行った。
 JSNAでは、国際基準の考え方を踏まえて、利用可能な基礎統計を活用し、詳細な財貨・サービスの情報から、支出側・生産側の推計がされている。平成23年基準改定では、供給・使用表のフレームワークを活用する等して、両者の整合性・推計精度が向上した。さらに、2008SNA対応にあたっては、各種基礎統計・情報を駆使して、R&D資本化や防衛装備品の資本化等、可能な限り2008SNAの勧告に忠実に対応したといえよう。ただ、所有権移転費用の一部等、基礎統計・資料の制約から対応困難な事項もあり、これらについては今後の課題となる。

Magazine(name)

『季刊国民経済計算』

Volume

No.1621~24

Date of Issue

2017/07