本稿は、租税制度を利益課税の枠組みからではなく、分配構造の観点から再解釈することを目的とする。従来の法人税中心の課税観は企業利益を課税能力の基礎とみなしてきたが、欠損法人の増加や個人段階への課税移行を踏まえると、その説明力には限界がある。本稿は、課税能力を利益ではなく分配の存在に求める視角を提示し、実質分配の概念および実質同族報酬ペイレシオを用いて企業内部の分配構造を把握する枠組みを構築した。さらに、消費税還付制度を事例として、分配を直接扱わない制度であっても、その運用結果として特定主体への価値帰属を生み出すことを示した。これらの分析を通じて、税制を財源調達の手段としてではなく、分配構造を形成する制度として再定位し、企業行動・分配構造・税制を統合的に捉える理論的視座を提示する。