本稿は、企業の存続を利益の有無ではなく「分配構造の持続性」から説明する新たな理論枠組みとして「分配構造存続理論」を提示するものである。従来の経済学・経営学では、企業の存続は利益の獲得によって説明されることが多かった。しかし、現実には赤字企業であっても長期間存続する事例が少なくない。本稿では、元帳に記録された賃金や役員報酬等の分配情報に着目し、企業を価値の分配主体として捉え直す。さらに、分配決定権、外部留保、内部留保メカニズムおよび信用構造との関係を整理することで、企業の存続を分配構造の維持という観点から統一的に説明する基礎理論を提示した。これは、企業行動論、会計学、制度分析を横断する新たな分析視座を提供する試みである。