本論文では、ランカシャー州プレストンにおける産業革命終期の手織工の実態を、「手織物工場handloom factory(筆者訳)」という経営形態に焦点をあて、明らかにしている。従来の研究において、伝統的な産業である手織業がどのような生産形態・経営形態の下、存続していたのか不明確のままであった。そこで、本論文では、従来着目されてこなかった「手織物工場handloom factory(筆者訳)」という経営形態に焦点をあて、その実態を明らかにするとともに、「手織物工場」の生産品の性質や「手織物工場」が建設された制度的要因についても分析を行っている。