書物形成法における一考察 ―『吾輩は猫である』を手がかりに―
意匠学会
書物は,その書物が制作される時代の技術的な制約の中で形成されてきた。デジタル環境での制作が主となった現代では,出版面での制約はあるが,活字やそのサイズなど,選択の自由度は高い。しかしその選択理由は,制作者の主観によるものや識字能力に頼った,言わば読めればよいといったものが多く,明確ではない。 本発表は,書物がどのような環境で,どのように読まれるのかという観点と,人間の眼球能力における認知心理学的な見解をふまえ,理論的な形成法の一考察を試みる。