「イギリス社会における個人主義とネーションの総合と相克 : 非公式帝国と多文化主義の同形性」
本稿は,2016年に決定されたイギリスのBrexitで明らかになったイギリス社会の分裂の起源は,近世(Early Modern)に誕生した二つの思想-個人主義とネーション-の矛盾にあると考え,それを方法論的関係主義の立場から理論的に考察した。具体的には,ポスト帝国期においては,イギリス国内に帝国期の国際構造を縮小したような社会構造を埋め込んだが,イギリス自体の国力の衰えと国際社会,とくにEUの中で主導権が握れない中で,社会的欲を満たすことができず,EU離脱の決定をしたのではないかと結論づけた。
政策情報学会誌10巻第1号
10巻第1号17-27