多系的発展過程の歴史理論として、梅棹忠夫の『文明の生態史観』とシュペングラーの『西洋の没落』を取り上げ、その異同を検討し、双方に不足している理論的装置について指摘をし、それを補うことで多系的歴史理論をさらに進化させることができることを主張した。具体的には、シュペングラーの「原型」にみられるような人間存在の矛盾的性質(現存在と覚醒存在)と梅棹に見られるような地理的な多元性(第一圏域と第二圏域)の両者は相補うことができるものであり、双方を取り入れることで、社会変動理論を発展させられることを主張した。