「道路のバリアフリー化による車いす使用者の二層化――岐阜県高山市でのバリアフリー化を事例に」
本稿は、車いす使用者の利便性にあわせてバリアフリー化された道路であっても、そもそもその道路にアクセスできないという事態が一部に生じているという問題点に着目する。バリアフリー化された道路を車いすで走行するためには、中心部に自宅を構えるか、自宅から自家用車でバリアフリー化されたエリア内の駐車場まで行く必要がある。これら、経済的、もしくは自動車の免許をとることが可能な障害状態かどうか、という点で車いす使用者は二層化され、「いっそうのバリア」の生じる隙間を論理上明らかにした。
『高等研報告書0708:隙間―自然・人間・社会の現象学』財団法人国際高等研究