「媒介物を用いた身体範囲の拡張による『主体の再構築』の意味」
本稿の研究目的は、後天的な身体的不自由性を受け止める際の困難さを乗り越えるという問題点について、その乗り越え方をインテンシブなヒアリング調査をもとに検討し、その意味を見いだすことである。身体的不自由性に陥ったために「受動的存在」となった主体が「受動的能動」へと変容する過程について、パーソンズ的なケアの受動的受け手としての存在が、ケアする側へ気遣うという関係性に着目し、それを「主体の再構築」という概念を用いて説明した。
『現代社会理論研究』 現代社会理論研究会