本研究では,建学の精神やディプロマ・ポリシーに基づき設計された大学体育バドミントン授業が,受講者の学修成果に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.研究協力者は,首都圏にあるC大学においてバドミントンの授業を履修している432名であった.C大学の建学の精神およびディプロマ・ポリシーに基づき,本授業では「相互理解・コミュニケーション力」と「チャレンジ精神・実践力」が学修成果として位置付けられ,授業が設計された。具体的には,事前事後学習として,本時の振り返りと武士道の精神と対応させた実践内容を考案させることを設定するなどし,受講生の「主体性」を育むことに寄与するよう意図された。授業評価として,受講生に「この授業で身につけることが出来た能力(技能以外)」について自由記述により回答を求め,計量テキスト分析を行った.なお,分析ソフトにはKH Coderを用いた.分析の結果,多くの受講生が「コミュニケーション能力」の向上を学修成果として実感していることが明らかとなった.その他にも,「実践力」や建学の精神にある「武士道精神」が身についたという回答があることが確認された.各授業の振り返り内容を確認すると,ダブルスのゲームや団体戦で良い雰囲気を作るためにコミュニケーションを取ろうとしている様子が確認され,それによりコミュニケーション能力の向上を実感していると推察された.また,武士道の精神と授業内の実際の行動を紐付けさせることによって,「思いやり」や「相手を尊重する」といった声かけを積極的に実施した様子が確認された.このことから,ディプロマ・ポリシーに基づいた大学体育バドミントン授業を行うことで,よりコミュニケーションを取りやすい雰囲気を構築することにつながり,学修成果を実感しやすい内容になることが示唆された.