本研究の目的は、ADDIEモデルに基づき改善された大学体育バドミントン授業が受講者の主観的恩恵に及ぼす効果を検証することとした。この目的にアプローチするため、授業改善プロセスであるADDIEモデルに基づき、研究1、2、3を構成した。研究対象者は、首都圏にあるC大学及びD大学におけるバドミントン授業を履修している計595名(従前授業 177名、改善授業418名)であった。研究1では、従前授業における受講者のバドミントン技能水準が主観的恩恵に与える影響を検討した。その結果、技能水準の高い受講者のほうが低い受講者よりも高い学修成果を実感していたことが明らかとなった。研究2では、受講者の難しいと感じている主観的な技能課題を受講者の自由記述回答から技能水準別に抽出した。その結果、技能水準によって課題認知が異なること、すなわち初級群は自身の動作ではなくシャトルのフライトにより自己の技能評価を行っていることが明らかとなり、それに基づくルーブリックを作成した。最後に研究3では、改善設計した授業の効果を検討するため、学修者の主観的恩恵評価を用い、従前授業と改善授業との比較を行った。その結果、改善授業は「体力・身体活動の増強」および「規則的な生活習慣の確立」において有意に高いスコアだったことが明らかになった。