著者:小野聡・井関崇博・原科幸彦
本研究は、当時注目を浴びていた市民・行政協働による環境基本計画の推進に向けて、計画の策定段階における協働によって計画にいかなる成果をもたらしたかについて、到達点と課題を考察したものである。対象事例として愛知県日進市における計画策定の取り組みを選定した。本事例は行政計画の策定において、市民と行政が協働で推進する重点プロジェクトを、グループワーク形式のワークショップを導入して設計したものであり、市民参加の意義やサステナビリティに関する理解を共有してゆくことによって協働による計画づくりを行った先進的な事例である。本研究では当該事例を「代表性」「当事者意識」「差異克服」「役割分担」の4つの視点から考察した。その結果、計画のアウトリーチなどの運営を参加者に移譲することによって、計画に対する当事者意識が生まれ、多様な取り組みを行う担い手のネットワークが形成される契機を作ることができることが示唆された。