著者:小野聡・島岡航平
留学生の生活環境に対する認識がどのような属性及び環境要因によって規定されるのかを明らかにするため,既存研究の枠組みに加えて学習環境への認識について調査を行いその結果を分析した。分析は個人差を非集計的に測定可能な「階層ベイズモデル」を用いることにより,多様な背景を持つ留学生の生活評価の規定因を探索的に議論できるようにした。その結果,(1)国際寮の生活評価には,利便性,安全性,快適性といった諸項目に合わせて,語学や異文化交流機会を実現する場や実情が強く反映されていた。(2)海外居住経験の有無が生活評価に寄与することが示された。(3)回答者間の個人差について,集団生活への協力に対する考え方に起因する不満の存在が示唆された。