個人化論の再検討―M.フーコーの統治性研究からの接近―『千葉商大紀要第53巻第1号』
本稿では、再帰的近代化の一つの帰結として不安を媒介して立ち上がる「不安の共同体」と呼ぶべきつながりについて論じた。不安でつながる人々は、そのつながりを維持・再生産するために、極めて排他的で剥き出しの敵対性を表出する。本稿は、個人化の進展が集団的アイデンティティ同士の対立を解消するという想定は楽観的に過ぎ、再帰的近代化の帰結として生じる敵対関係について新たな問題設定が必要であることを主張した。
千葉商科大学国府台学会