従来明らかにされてこなかった頒暦の地域的偏りについて、大正期から昭和 戦中期にかけてその実態を明らかにした。当該期間における神宮から頒布された官暦(本暦及び略本暦)数は、道府県ごとに大きな差があり、人口当たりの頒暦率においても大きな差があった。政府から官許された独占的な頒暦であったにもかかわらず、大正・昭和戦中期においてもなお地域的偏りがあったことを、外地(朝鮮、台湾、満州・関東州、樺太、布哇、居留地等)での頒暦の時系列的増加および、内地では東北・近畿南東部・九州地方で頒暦率が高く、大阪府を除き大都市では頒暦率が低かったこと等を、資料的に明らかにした。(共著者:下村育代)