「神義論の社会学──『マハーバーラタ』と『ヨブ記』を手がかりに」
世界の不条理に対して神の義を問い返す神義論的問いは、この世界での生き方を方向づける一要素である。本稿では、ヒンドゥー教との関連で『マハーバーラタ』を、およびユダヤ・キリスト教との関連で『ヨブ記』を参照し、そこでの神義論の文脈を検討することで、聖と俗の緊張だけではなく、聖内部の緊張を反映し、教権と俗権の対立にとどまらない、宗教勢力内の緊張も映し出す神義論の問いの潜勢力を明らかにした。
『情況』(情況出版)第2期
第11巻第6号