「ヴェーバーの「殻」概念──「鉄の檻」への疑問」
第74回日本社会学会大会
ゲホイゼの概念は、「鉄の檻」の訳語で人口に膾炙している。だがこの概念は、保護機構と抑圧機構の通底性を指示する両義的概念であることを解明した。訳語としては、「殻」が適切と考える。この両義性の理解に立つことで、経済競争や政治闘争からの保護を求めて人びと(とくに既得権益の受給者)が「閉じこもる殻」が、同時に抑圧機構となって人びとを「閉じこめる殻」になるという、歴史の逆説的ダイナミズムが、ヴェーバーのテキスト内に鮮明に浮かびあがる構造を分析した。