本研究ではあらゆることが一変した明治時代に、ブライダルについてどのような報道があったのか、同時代感覚でその軌跡を追った。具体的には、『読売新聞』創刊以来の、ブライダルを扱った新聞記事・広告を渉猟するという作業である。新聞記事は当時の記者が毎日書き続けたドキュメントであり、他方、新聞広告は広告主が読者に訴求したいことや受け入れられるであろうと予想した世相を映す鏡である。明治時代の『読売新聞』に掲載されたブライダル関連記事および広告3,375本をすべて通読し、明治期という限定的な時期ではあるが、『読売新聞』記事によるブライダルの全体像を明らかにする基礎研究を試みた。
本稿は近代化・西洋化の体験者としてその新鮮さに昂揚した新聞社と読者の記録でもある。そう言った意味では、これらは日本の近代史にとっても史料として貢献することがあるものと自負する。