小説における視点と時制
関西英語語法文法研究会第12回例会 (関西学院大学、大阪)
過去形/非過去形の選択は、英語に比べ日本語の方が概して自由度が高いが、日本語ではなく英語の方に選択の幅がある場合もある。本論では、3人称小説の地の文での時制選択に注目し、まず、間接話法内での時制選択と、小説の地の文での時制選択の並行性を指摘し、小説の地の文での時制選択を、時制使用の基本的な特徴―「常に発話時を基準する」かどうか―から記述しうることを示した。その上で、小説の地の文におけるそれぞれの言語での時勢選択のメカニズムを系統立てて記述した。