本稿は,会計の本質に関する基礎理論研究の予備的作業として,会計の性質と機能について責任と信頼の観点から論じている。
考察の結果,会計が財産受託者の財産委託者に対する自らの行為の結果の説明であり,期待に対する応答のコミュニケーションとしての性質を有し,責任実践の一環としてアカウンタビリティに基づいて行われるという理解が導かれた。また会計は,その制度が信頼されることで株式会社が発行する証券市場への投資家の参加を可能とし,その行為を通じて特定の株式会社企業への出資を可能としているとする試論が導かれた。