「内部統制報告の本質への接近(2)―会計責任の観点から―」
本稿は,会計行為の観点から内部統制報告の本質を検討した坂井(2012)の続編として,会計責任と責任との関係の考察を通じて会計責任概念を規定し直し,内部統制報告の本質的意義を再検討した。その結果,会計責任は,行為主体が理由能力のある自律的な存在として認められるための責任過程の中心に位置付けられるとの試論が導かれた。また,会計責任に基づく会計の過程としてなされる内部統制報告により,経営者をはじめとした行為主体自身が,自律した主体として社会から承認を得る効果が期待されることが確認された。
『千葉商大論叢』第53巻第1号,79-96頁,千葉商科大学国府台学会