「戦略とHRMとの対応」の有効性が実証されないのは、それらが業績向上に効果を持っていないということではなく、研究の方法および理論的枠組に不足な点があったことが原因であった。したがって、結果として、競争力が生まれるプロセスの原因・結果の分析に基づいた競争力の問題点や今後の課題を解明することが出来ないという理論状況であった。本稿で示した、人材マネジメント革新のプロセス分析枠組は、これまでに指摘されたSHRMの研究上の問題点に加えて、企業が成功あるいは失敗した原因がどこにあったのかについての分析を視野に入れたものである。