経済が失速したなかで、少子高齢化にどう対応するのか、中国の社会保障はいま難局に立たされている。中国現行の社会保障は2つの大きな問題を抱えている。1つは財源問題である。もう1つは制度間格差で ある。持続可能な制度にするためには、この2つの問 題を解決しなければならない。その前に、なぜこのよ うな問題が起きたのかを明らかにする必要がある。社会保障制度は時の流れのなかで形成・再編されている ため、歴史的視点が今日の問題解明に有効だと考える。
本稿は中国社会保障制度の 形成過程から現行制度の問題点を説明する。まず中国社会保障の現状を簡単に紹介したうえで 、その構築過程を振り返る。つぎに、その形成過程が中国特有なのかどうかを韓国と比較する。 最後に、中国的制度設計がもたらす問題点に触れる。