中国では2011年、全国民を対象とする社会保障制度システムが成立し、2018年に、中国国務院が中国の社会保障システムは世界で規模が最も大きい、カバー人口が最も多いものであると発表した。しかし、その類のない規模の大きさに加え、計画経済の歴史や政治体制の違いなどから、中国の社会保障はこれまで先進諸国の比較対象として敬遠されがちで、また「別格」扱いされる傾向がある。本稿は日本や韓国との比較を通じて、中国の社会保障制度の特徴を捉え直した。結論から言うと、中国社会保障の形成を日本、韓国と比較した結果、中国は日本や韓国と同じ経路をたどり、中国独自の道を発見することができなかった。しかし、中国の民間保険の社会保障制度への参入から、形作りの段階が終えた中国はこれから「中国モデル」を築いていく可能性もあると指摘した。