『厚生(労働)白書』を通読することを通して、生活保護を中心に、日本の貧困対策に関する2つの流れを整理することができた。第一に、貧困対策の政策対象の変遷である。つまり、稼働年齢層を含む低所得層→非稼働年齢層→稼働年齢層を含む生活困窮者という流れを見出した。ダニに、生活保護制度を扱うカテゴリ―の変遷である。1970年代、1980年代の「所得保障」から2000年代の「地域福祉」へと変わっていた。これは、福祉サービス化や地方分権化の流れを受け、生活保護制度の性格が、最低限度の生活を保障するための現金給付中心の制度から就労支援を中心とするサービス給付に重点を置く制度へと変貌したということを意味する。