社会保険制度と公的扶助制度の統合という点は社会保障を理解するうえでの要である。本論文はこの「統合性」に着目し、中国の医療扶助制度を例に、中国の社会保障制度の特徴を考察した。中国の医療扶助は適用対象に対して、住民基本医療保険および新農村合作医療制度への加入も給付内容の1つとなっている。つまり、低所得層は政府が保険料を負担することによって、公的扶助の受給対象であると同時に、社会保険の被保険者でもある。このことから中国の基本医療保障システムにおいては、社会保険制度と公的扶助制度との「融合」が生じていると指摘した。