IFRSやFASでは特定の会計手続を基準として設定するが、その時の根拠の1つとして、関連する実証研究の成果が上げられる。会計における実証研究の中では、代替的会計方法の選択基準として,従属変数を株式リターン、主たる独立変数を利益数値とした回帰式における決定係数を用いることが多い。本論文では,決定係数が代替的会計方法を選択する場合の基準として適切であるか否かを、決定係数の統計的な意味と、実証の手法の側面から検討した。結論として、決定係数比較による代替的会計方法の選択は有意義ではあるものの、選択に当たって唯一無二の基準ではなく、これのみで代替的方法を選択することには問題があることを指摘している。(31-39頁)