本報告では副題にみるように、経営者が株主に損をさせるような資本コスト認識であったか否かをみている。これはガバナンス論議に端を発し、管理費用の大幅増を招いた現況に対して、企業内部の問題か、あるいは企業にとっては与件となる資本市場の問題なのかを峻別することになる。」本報告の分析は分析対象期間を念頭に株式益利回りを資本コストとし、それを売上高対比の配当負担と擬制し、同コストを説明変数に資本構成/資本調達/資本規模と言った3つのモデルをみている。各モデルにおいて同コストは有意であることから、市場が企業の低コスト認識を容認していた可能性を示唆している。