現在、世界の120か国以上が国際財務報告基準(IFRS)を導入し、又は導入方針を表明している。我が国では、平成22年3月期から一定の上場会社の連結財務諸表にIFRSの任意適用が始まった。平成24年には強制適用についての最終判断が行われることになっている。従来の取得原価主義会計は、企業を取り巻く多様な利害関係者を対象に、継続企業を前提に過去の事業年度の業績を算定・報告するものであった。IFRSは、財務情報の提供対象を、第一義的には、企業リスクの最終的な負担者である投資家や債権者に限定し、過去の業績よりも、グローバルな厳しい市場競争に勝ち抜いていくだけの経営基盤、財政基盤を備えているかどうかを判断するに有用な情報提供を目的としている。このような会計基準の変遷は、継続企業の前提が必ずしも約束されない、倒産リスクを念頭に厳しい市場競争・技術競争に立ち向かわなければならないという、企業環境の大きな変化にあるということを力説した。