我が国の金融教育における基礎概念は、金融リテラシーであるが、国際社会における金融教育の指導機関OECD/INFEでは金融コンピテンシー概念が強調されている。他方、高齢者など「脆弱な人々」の金融包摂問題では、デジタルツールの活用や専門家による相談といった米国型金融ケイパビリティ概念に連なる問題の重要性が指摘されている。また高齢者の認知能力低下による意思決定も名題では、金融キャパシティ概念が使用されている。本稿では。包括的な金融能力(Financial Ability)概念の下に、これらを統一的に整理し、サステナビリティ時代の新たな金融能力論の理論モデルを探求した。