我が国では,上場株式等の譲渡益や配当に対する軽減税率制度導入など,経済成長を目 的とする投資促進のための金融所得課税制度が整備されてきた。しかし,このような税制 は,低所得者よりも高所得者に大きな恩恵を与えるもので,長年,格差拡大の要因である との指摘もなされてきたところである。 本論文では,現行の金融所得課税制及びNISAの利用状況について確認した。
我が国の金融所得課税は,金融所得が多くを占める高所得 者層に大きな恩恵を与える制度となっている。しかしながら,安易な金融所 への課税強化は租税回避行為の誘因となることが懸念され,その判断が難しいところで ある。 そこで,金融 取引税を導入することで,金融所得に関する課税強化を行い,金融所得が多くを占める所 得が1億円以上の高所得者層への課税強化を検討してもよいのではなかろうか。