消費税における給付付き税額控除に関する研究

税務会計研究学会第36回全国大会

我が国では、厚生労働省公表の所得再分配調査（2021年・令和3年)において、所得格差を示すジニ係数が当初所得で0.57となり、例えば1975年の0.37と比較してもその格差は拡大している。そして、格差是正のための再分配によるジニ係数の改善度は、社会保障による改善度が29.8％であるのに対し、税による改善度は4.7％にとどまっている。このように、我が国の所得格差是正は多くを社会保障による再分配に頼り、税による再分配は限られている。そこで、本報告では消費税に焦点を絞り、給付付き税額控除を利用した我が国の税による所得格差是正制度の採用とその効果を検討した。
具体的には、まず、国民の多くが恩恵を受けているモンゴルのEBarimtを活用した消費税の給付付き税額控除及びカナダのGST Creditについてその制度の概要と効果を紹介した。次に、税による再分配の必要性を検証するとともに、消費税における給付付き税額控除制度を我が国で採用することで、期待される効果を検討した。