フラッシュバルブメモリーの忘却と変容
Ochi & Sagara (2003)の結果について,新たなデータおよび分析を加えて再検討した.情動喚起性の高い事象(池田小学校事件)と低い事象(田村亮子選手敗退)のそれぞれについて,フラッシュバルブメモリーの忘却と変容という観点から検討すると,田村選手の記憶に関しては忘却が多く,池田小学校事件については忘却よりも記憶の置き換えが多いという今回の結果は,事件による情動喚起の要因やリハーサルの要因よりはむしろ,事件を知った後の被験者の行動パターンの違いに起因していることが推察された.
日本認知科学会テクニカルレポート