これまでの一連の研究から,教育実習において重視される様々なスキルが明らかとなってきたが,そのうちの「自律性」に関し,実習生が持つ「親性(父性)」という面から改めて検討を行った.具体的には,今年度新たに教育実習を終了した実習生145名を対象とし,母性-父性尺度(吉田, 1995)と,実習に関する自己評価および他者評価(実習校から得られた成績評価)の関係について検討を行った.その結果,父性の肯定的側面は客観的評価につながるが,コミュニケーションにおける苦手意識を持ちやすいこと,母性の肯定的側面は必ずしも客観的評価にはつながらないが,コミュニケーションという面では有利になりやすいことが示された.これを受け,今後の大学の教員養成課程においてどのような事前・事後指導を行うべきなのか検討を行った.