社会的ひきこもりは,家族以外との誰とも関わらない状態が6ヶ月以上継続するという現象概念であり,そのため支援法に乏しい.また,ひきこもり当事者は社会との接触をさけていることが多く,自ら支援申請を行うことが難しい.これらの諸要因が相まって,公的機関によるひきこもりの支援が困難となっている.そこで本研究では,社会復帰をしたひきこもり経験者4名に対して半構造化面接を行い,事例研究をもとに,現状と課題の検討を行った.その結果,ひきこもり状態のまま未相談となっている期間が長いことが一番の問題であり,できる限り早期相談行動へつなげるような支援が求められていることが明らかとなった.そのためには,ひきこもり当事者やその家族に対して容易にアクセスできる相談支援体制の構築やオンラインでの相談手段について導入を検討することが,早期の相談行動および社会復帰につながることが示唆された.(川乗賀也・相良陽一郎:担当部分=結果の分析および考察部分の検討・論文内容全般について検討)