1995年6月21日に発生したハイジャックはたった一人の犯人により365人の乗客乗員が16時間も機内で恐怖の時間を過ごす展開となり、その模様はテレビ各局によって長時間生中継された。実際にはドライバー一本しか持っていなかった単独犯にとって最大の武器となったのは、オウム信者だという誤った情報の一人歩きによる状況判断の間違いであった。フライング、誤報、垂れ流しといった報道のあり方が緊急時の攪乱要因として批判されるが、では、実際、捜査と報道の間でどのような危機管理が求められるのか。独自に入手した機長の交信記録など当日の詳細なデータを基に分析した。